◆見えない敵に立ち向かう

 いま、日本中で新型コロナウイルス感染症という見えない敵が、じわじわと私たちの生命や暮 らしを蝕んでいます。 そして今このときも、医師・看護師をはじめとした医療現場の最前線にいる皆さんの懸命の努 力により多くの命が救われ、また市民の皆さんの良識ある日々の行動が医療崩壊をくいとめてい ます。感染拡大は今回にとどまらず、第2波、第3波も予想されています。 市民の生活と、長年にわたって築きあげてきた医療という共通の財産を守るために、私たち歯科 医師も全力で活動しています。

◆歯科診療は安全

 口腔内は多くの細菌がすみつく場所でもあります。そうしたことから、歯科診療においてはこ れまで平時であっても十分な感染防止対策が講じられてきました。HIV、SARS、MERSなどのウ イルス感染症、そしてまた今回の新型コロナウイルス感染症についても、歯科診療によって患者さ んに感染させた例はひとつもありません。 これからも市民の皆さんの安全を第一に考え、感染防止策を徹底してまいります

◆重症化予防のために歯科医師ができること

 感染症に歯科医師が貢献?と不思議に思われるかもしれません。 ひとつは、医師会と連携した直接的な活動で貢献しています。PCR検査センターに赴き歯科医 師も検体採取に協力したり、今後は唾液による各種検査が可能になれば口腔内をよく知る歯科医 師の出番はより増えると予想されます。 さらに最も大切なことは、口腔内環境を整えることをとおした感染症の重症化予防です。長期 にわたる自粛生活による歯科診療の中断は、口腔内の衛生状態をわるくし感染症抵抗力の低下を まねきます。治療やメンテナンスにより口腔内を清潔に保つことで、ウイルスを始めとした細菌性 肺炎の重症化のリスクを下げることができます。緊急事態宣言が発令されているなかで歯科診療所 が休業要請されていないのは、こうしたことが期待されているからです。 歯科診療の継続・延期の判断は、「かかりつけ歯科医」にぜひご相談されるようにお願いいた します。

◆持続可能な社会のために

 感染の抑制に向けて、私たち歯科医師も他の医療職や市民の皆さんと心をひとつにして立ち向 かっていく覚悟でいます。明けない夜はありません。この難局を乗り越えた先に、明るい未来が 必ず拓けていると信じて。